知識や技術が必要な溶接作業。
溶接は資格なしで作業できるのか疑問を感じている人がいるのではないでしょうか。
この記事では、溶接作業は資格なしでできるのかを解説します。
また、溶接関連の資格の種類や取得方法を紹介するので、参考にしてください。
溶接は資格なしで作業可能
結論からいうと、溶接作業自体は資格なしで作業可能です。
しかし、溶接作業の全てが資格なしでできるわけではないので注意が必要。
たとえば、近年流行っているDIYを家庭でおこなう場合には資格なしで構いません。
とはいえ、溶接は一歩間違えると体に悪影響を与える恐れがある危険な作業なので、まったく知識がない状態でおこなうことはおすすめできません。
そのため、資格なしでも以下の点には注意して作業してください。
・安全対策はしっかりと
・作業内容を確認
・環境の確保
・機械の操作法
溶接作業は、飛散物・熱・光などが発生するため常に危険と隣り合わせです。
特に紫外線や可視光によって目を焼く恐れや、騒音で耳に異常が出やすいので安全対策は欠かせません。
溶接面や保護めがねの着用・手袋・安全な作業服など、適切な保護具を身につけ作業しましょう。
また、資格なしでできるからといって知識もない状態で作業するのは非常に危険です。
溶接前には、必ず作業内容を確認して理解してから始めてください。
火災を防ぐため、安全な場所での作業も重要です。
溶接の種類によっては資格なしで作業できない
趣味程度の溶接では資格なしでも作業できるとお伝えしましたが、仕事する場合は異なります。
仕事で溶接作業をおこなう場合アーク溶接・ガス溶接・ボイラー溶接などがありますが、それぞれ必要な資格があるので詳しく紹介します。
アーク溶接作業を行う場合「アーク溶接等特別教育」の受講が必要です。
アーク溶接作業中には、火傷・感電・引火・眼炎などの労災被害が報告されており、労働安全衛生法で「危険・有害な業務」に指定されているためです。
ガス溶接作業に必要な資格は「ガス溶接技術者」です。
ガス溶接はその名の通り、ガスを使用して溶接をおこなうため危険が伴う作業です。
事故を防ぐためにも適切な知識が必要になるため、労働安全衛生法によって資格保有者が作業する決まりになっています。
また「アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置」を使用する場合は「ガス溶接主任作業者」が管理責任者として現場監督する必要があります。
ボイラー溶接をおこなう場合は、国家資格である「ボイラー溶接士」が必要。
また、一度取得して終わりではなく更新が必要な資格です。
溶接作業に従事していなければ、知識と技能の維持が難しいと考えられるためです。
溶接作業に関する資格5選
溶接作業に関する資格にはどのような種類があるのでしょうか。
以下の5つの資格を詳しく解説します。
・アーク溶接作業者
・ガス溶接技能者
・ガス溶接主任作業者
・溶接管理技術者
・溶接作業指導者
1.アーク溶接作業者
アーク溶接作業者は、アーク溶接に携わる人に必須の資格です。
感電・火災・火傷などの危険性があるので、特別教育を受講し資格を取ることが労働安全衛生法によって定められています。
取得方法は、学科11時間・実技10時間の講習を受講することです。
アーク溶接は溶接の中でも主流の方法なので、溶接初心者や趣味でDIYしたい人にも役立つでしょう。
2.ガス溶接技能者
ガス溶接技能者は、ガス溶接に携わる人に必須の資格です。
アセチレンなどのガスと酸素を使用し高温の中で溶接・溶断をおこないます。
そのため、ガスが漏れて火災の原因となったり、ガスが充満したボンベに火が戻って爆発したりする危険と隣り合わせの作業です。
適切な知識と技術を習得するためにも、資格取得が労働安全衛生法で決められています。
学科8時間・実技5時間の講習を受け、修了試験に合格すると取得できます。
3.ガス溶接作業主任者
ガス溶接は、アセチレンなどのガスを使用し高温の火で溶接をおこないます。
アーク溶接と比較すると溶接速度が遅い・溶接している部分が見やすい・薄い材料の溶接がしやすい特徴があります。
ガス溶接主任作業者は、作業者にガス溶接の作業指示を出すことが可能な国家資格。
また、アセチレン溶接装置を使用する際に現場監督としてその場にいる必要があります。
ガス溶接は、労働安全衛生法で危険が伴う作業に定められていることから、ガス溶接主任作業者の資格保有者は必要性が高いでしょう。
実技はなく、学科試験に合格すれば取得できます。
4.溶接管理技術者
溶接管理技術者とは、溶接に関する技術や知識・施工や管理への能力を持つ技術者を証明する資格です。
官公庁が発注する工事現場には、溶接管理技術者の常駐が定められていることから、非常に需要のある資格といって良いでしょう。
溶接管理技術者の資格は、2級・1級・特別級の3段階があります。
等級によって受験条件の職務経歴が異なります。
たとえば2級の受験条件では、理工系の高等学校卒業で2年以上の職務経歴が必須です。
試験内容は、2級と1級は筆記試験と口述試験・特別級は筆記試験が2つと口述試験です。
5.溶接作業指導者
溶接は、火災や感電など常に危険が伴う作業なので、高い技術と知識が必須です。
溶接作業指導者の資格を取得すると、溶接作業の現場で指導する役割が与えられます。
そのため、長年の作業経験を活かして取得すると、作業の幅が広がります。
取得方法は、3日間の講習を受講後、筆記試験に合格することです。
本資格の筆記試験は合格率が極めて高く、講習の内容を理解していれば合格できるといわれています。
受験資格は、25歳以上で技術資格を保有している人。
技術資格とはチタン・ステンレス鋼などです。
まとめ
溶接作業は資格なしでおこなえるのかを解説してきました。
趣味のDIYは資格なしで溶接が可能です。
とはいえ、危険と隣り合わせの溶接作業。
必ず安全を確保した状態でおこないましょう。
一方で、仕事で溶接をおこなう際は資格なしではできません。
火災や感電・火傷などの労災被害があとを絶たないため、労働安全衛生法で危険な作業と定められているためです。
アーク溶接・ガス溶接・ボイラー溶接など、それぞれの資格を取得して知識と技術を身に付けてから作業しましょう。