これで失敗なし!遮光溶接ガラスの選び方と溶接面の種類

溶接の時に出る光から目を守るためには遮光ガラスが必須です。

遮光ガラスには遮光度番号があり、溶接面にはさまざまな商品が発売されていますので、溶接の電流の量によって適切に選ぶ必要があります。

この記事では、遮光ガラスとは何か、溶接面の種類や選び方などをご紹介します。

 

溶接の光の有害性

溶接時にはアーク光と呼ばれる光が出ます。

アーク光には「可視光線」と呼ばれる見える光のほかに、「紫外線」と「赤外線」が含まれています。
これらをたくさん見てしまうと電気性眼炎、通称目玉焼きという状態になります。

目を焼いてしまうと目がゴロゴロする、まぶしくて目が開けられない、涙が止まらない、朝起きると目ヤニが大量に出ている、などの症状が起こります。

紫外線にはA、B、Cの3種類がありますが、中でも強力な紫外線Cは普段の生活ではオゾン層で遮られて地球上には届きません。
しかし、溶接アーク光からの紫外線Cは遮るものがなく、直接目に入ると危険です。

また、可視光線による青光障害は視力を低下させたり、視野の中に見えない領域が出来てしまう症状が数週間から数カ月残ってしまうことがあります。

つまり、溶接作業をする人は溶接光から目や皮膚を守って仕事をすることが非常に重要です。

 

遮光ガラスとは

遮光ガラスは太陽光やアーク光などの有害な光をある程度遮ることが出来るガラスです。

遮光ガラスには保護レベルがあり、溶接機の種類によって推奨する保護レベルが違います。
溶接時の発光の強さによって適したものを選ぶ必要があります。

遮光ガラスは透過率により濃さが変わります。
通常の溶接作業では8~14番が多く使われています。

比較的溶接電流が高い場合は10番以下の遮光ガラスだと眩しすぎて目が疲れてしまいますし、逆に電流が低い場合は11番以上の濃い遮光ガラスだと見えにくさから目が疲れてしまいます。

したがって、遮光ガラスは溶接作業により数種類をすぐ交換できるように準備しておくことが大切です。

 

遮光ガラスの色

溶接作業においては、アーク光が何色に見えるガラスを使うのかは非常に重要です。
遮光ガラスには黄色、緑色、青色に見える3種類のガラスがありますが、黄色は光が明るく見えてしまうので目が疲れます。

緑は最も一般的に使われている色です。
光が見えやすく作業もしやすいのが特徴です。

青は最も目に優しく、疲れないガラスと言われていますが、海外製のため材料の色に差が出やすく、あまり出回っていません。

したがって、緑色が標準と考えておけば良いでしょう。

 

溶接面の種類

溶接時の光から目や皮膚を守るためには適切な溶接面を着用する事が必須となります。

溶接面にはさまざまなタイプがあり、使いやすいものを選ぶことが大切です。
ここでは溶接面の種類をご紹介します。

 

手持ち型

手持ち型は昔からあるタイプの溶接面です。

手持ち溶接面は他の溶接面比べると安価ですが、常に片手で持っていなければなりませんので、両手で作業できないというデメリットがあります。

また、装着の遅れなどにより光が目に入ってしまう危険性もあります。

 

かぶり型

かぶり型も自動遮光面に比べて安価な点がメリットです。

基本的に目の部分の遮光ガラスは取り外し可能で、溶接作業に合った遮光率のガラスに入れ替えて作業することが可能です。

両手が使えるため、初期コストを抑えたい方に向いています。

 

自動遮光面

自動遮光面はかぶり型と同様に頭に被るタイプの溶接面ですが、フルフェイスヘルメットのような見た目で、本格的な溶接に向いています。

明るさの変化が可能な液晶フィルターと、アークの点滅を検知する光センサーが搭載されています。

液晶フィルターはアークが点滅しているときには暗く、消灯しているときには明るくなるように視界を自動的に変化させる機能があります。

両手を使って作業ができ、機能や丈夫さから価格は高めのものが多くなります。

 

溶接用ゴーグル

溶接用ゴーグルは自動遮光面に比べて軽く、どんなヘルメットにでも使用でき、メガネの上からでも着用することができます。
デメリットは価格がやや高い点です。

 

溶接面の選び方

溶接面はさまざまな商品が発売されており、どれを選んだら良いのか迷ってしまうかと思いますが、基本的な選び方は共通しています。

溶接面を選ぶ際には以下のポイントを参考に商品情報をチェックしてみると良いでしょう。

 

遮光度から選ぶ

最も大切なのは光の見え方を左右する遮光度です。

低い電流では遮光度の高い暗いガラスではみえにくく、高い電流では遮光度の低いガラスでは眩し過ぎて作業ができません。
最適な明るさを選ぶことが大切で、作業によって使い分ける必要があります。

最適な遮光度はJIS規格の番号によって定められていますので、施工する電流からどれくらいの遮光度のある溶接面が必要になるのかを確認しておきましょう。

 

自動遮光面は遮光の速さから選ぶ

自動遮光溶接面は製品により液晶の遮光の反応速度が異なります。
反応速度は溶接の光が出てから遮光するまでの時間です。

遮光速度が遅いほど溶接の光が目に与える影響は大きくなります。

最近発売されているタイプはどの商品も違和感を感じるほど遅いものはないため、極端に遅い物でなければ問題ないと言えます。
だいたい1/15000~1/25000を目安に選ぶと良いでしょう。

 

自動遮光面は視野や明るさもチェックする

自動遮光面は通常モードのときの明るさの程度もある程度チェックしておきましょう。
暗すぎると工場内で工具を取るときやちょっと移動するときに良く見えずに不便な思いをします。

また、視野も必要ですので、実際にどれくらいの視野があるのかを見ておく必要があります。

 

軽量のものを選ぶ

溶接面の重さは重要です。
長時間の作業は重さが疲労の原因となりますので、できるだけ軽いものを選ぶようにしましょう。

重い遮光面を長時間使用し続けていると、肩こりだけでなく、頭痛や首の痛みなどに繋がる可能性もあります。
体への負担を軽減するためにも軽量なタイプを選ぶことをおすすめします。

 

適切な遮光ガラスを使用して安全に作業する

遮光ガラスは溶接作業では必須のアイテムです。

最近ではたくさんの種類の遮光面が発売されていますので、適切な遮光面を使用して、安全に作業をするようにしましょう。