溶接作業中は、強い光や火花などの飛散物から体を保護する必要があります。
そのためには服装や保護具は欠かせません。
しかし、溶接作業中の服装はどのように選べば良いか悩んでしまうのではないでしょうか。
この記事では、溶接作業中の服装を選ぶポイントを紹介します。
注意点もあわせて参考にしてください。
溶接作業に適した服装を選ぶ4つのポイント
危険がともなう溶接作業において、安全を守る服装は必要不可欠。
溶接作業に適した服装を選ぶ4つのポイントを以下で解説します。
・燃えにくい素材
・動きやすさ
・サイズ確認
・暑さ対策
1．燃えにくい素材
溶接作業中は火花が発生するので、燃えにくい素材の服装選びは必須です。
「難燃素材」は燃えにくい素材で作られている衣服のことで、燃えないと言い切れないものの溶接作業には役立つでしょう。
また、燃え広がらない・高温に耐える素材も溶接作業には欠かせません。
「難燃・防炎・耐熱」が叶う素材には、綿・ポリエステル・ポリカーボネートなどがあり、中でも綿は、技術が発達する前から活躍している信頼のおける素材です。
綿素材の特徴は、火が付くとその部分のみが燃え抜くこと。そのため、ほかの部分に燃え広がらないメリットがあります。
2．動きやすさ
溶接作業中は常に危険と隣り合わせなので、動きやすい服装を選ぶ必要があります。
また、長時間同じ姿勢や無理な体勢で作業することが多々あるので、ストレッチの効いた服装にしましょう。
高温で火花も発生する溶接作業は、防炎や耐熱性ばかりを意識して服装を選びがちですが、丸一日作業することを考えると動きやすさは必須です。
ネット販売でさまざまな商品が出ていますが、伸縮性は着用してみなければわかりません。
実店舗で試着しストレッチ性を確認しましょう。
3．サイズ確認
溶接作業で着用する服装は、自分の体に合ったサイズのものを選ぶ必要があります。
さきほどもお伝えしたとおり、溶接作業は長時間同じ姿勢や無理な体勢でおこなう場合が多く、動きづらい服装では思わぬ事故につながる恐れがあり危険です。
そのため、必ずサイズを確認したうえで購入しましょう。
ネット販売の中には海外製の商品もあり、日本のサイズ表記と異なる場合があるため注意が必要。
また、日本の商品の中ではメーカーによって大きさが異なる可能性があるため慎重に選びましょう。
4．暑さ対策
夏場は灼熱の中での作業となる溶接。
熱中症をはじめとする体調不良を防ぐために暑さ対策は必須で、安全性と同時に叶うのが「空調服」です。
服の中にファンが付いていて、涼しい風を送ってくれる機能が付いている空調服。
夏場の溶接作業時に便利な一方で、ファンの通気口から火花が入ると燃える恐れがあるので注意しなければいけません。
さらに、空調服内に火花が入ることで、バッテリーも燃える二次災害が起きる可能性があるので着用の際は注意しましょう。
溶接作業の服装で気を付けること
溶接作業時の服装で気を付けるべきことを2つ紹介します。
・破けた部分はそのままにしない
・着心地が悪くなったら交換する
破けた部分はそのままにしない
溶接作業中は、火花が発生したり高温になったりと危険がともないます。
そのため、溶接に適した服装での作業は必須ですが、火花が散って破けてしまうこともあるでしょう。
服が破けたことに気付いたらすぐに取り替えてください。素肌が見える状態での作業はヤケドのリスクがあるためです。
いざというときのために、作業用の服の予備を置いておくといいですよ。
着心地が悪くなったら交換する
溶接作業で使用する服は、ときにサイズが合わなくなるなど着心地が悪くなる場合があるでしょう。
せっかく購入したから多少無理してでも着用を続ける方もいるかと思いますが、着心地が悪くなったら交換のサインです。
溶接現場では長時間同じ姿勢でいることが多いので、着心地が悪いと作業性が下がってしまう可能性があります。
常に自分の体に合った作業着でおこないましょう。
保護具を使用しよう
安全を保つために、溶接作業では服装以外にも保護具の使用が必須です。
以下の3つの保護具を詳しく解説します。
・溶接面やメガネ
・防塵マスク
・革手袋
溶接面やメガネ
溶接時は人体に悪い影響を与える光などが発生するので、作業中は目や顔を守る溶接面や溶接用メガネの着用が必須です。
溶接面の種類は、手持ち面・ヘルメットタイプ・被りタイプがあるので、作業内容や使用感で決めましょう。
溶接メガネの種類は、ゴーグルタイプ・サングラスタイプ・クリップタイプがあります。
また、溶接面やメガネには「自動遮光機能」といって、作業中の光の強さを自動で感知し遮光してくれる人気の便利タイプもあります。
防塵マスク
溶接をすると「ヒューム」と呼ばれる金属が溶けた粉塵が舞います。
ヒュームの中でも微細な粉塵は、人の体内に入り込むと肺の奥まで到達し、そこへ沈着します。
粉塵を吸い続けると最悪な場合「じん肺」になる恐れがあるため、防塵マスクで保護しましょう。
また、ヒュームを吸うことで起こる症状は咳・息切れなどがあり、深刻な場合動悸がして歩くだけでも息苦しくなってしまいます。
そのため防塵マスクの着用は必須です。
革手袋
溶接作業において、革手袋の着用は欠かせません。
さきほどからお伝えしているとおり、溶接作業は高温なうえ火花が散るので危険がともないます。
その中でも、手は直接影響が出る部位なので、必ず保護する必要があります。
手袋は革製のものにしましょう。化学繊維は火に溶けやすく、木綿は手に熱が伝わる性質があるため溶接作業には不向き。
革手袋の厚さや形状は商品によって異なるため、ご自身が作業しやすいものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
今回は、溶接作業に適した服装を選ぶポイントを紹介しました。
おさえるポイントは以下の4つです。
・燃えにくい素材
・動きやすさ
・サイズ確認
・暑さ対策
溶接現場は、火花の発生や高温など過酷な環境です。
そのため、服装は燃えにくい素材で自分に合ったサイズと伸縮性が重要。
また、破けたらすぐ交換するなど安全面の配慮が大切です。
服装のみならず、保護具も使用し体を守って安全に作業しましょう。