溶接に必要な資格の種類と取得方法は?難易度はどれくらい?

溶接関連の資格は国家資格と民間資格を合せるとさまざまな種類があります。

業務に携わるにあたって必須の資格や、一定の職務に必要な資格がありますので、

どのような資格が必要なのかはあらかじめチェックしておきましょう。

 

【溶接の資格にはこんなものがある】

溶接の資格は国家資格、民間資格、技術レベルによりさまざまなものがあります。

未経験者向け資格

・アーク溶接作業者(国家資格)

・ガス溶接技能者(国家資格)

中級者向け資格

・アルミニウム溶接技能者(民間資格)

・溶接技能者(民間資格)

上級者向け資格

・ガス溶接作業主任者(国家資格)

・普通ボイラー溶接士・特別ボイラー溶接士(国家資格)

・溶接管理技術者(民間資格)

・溶接作業指導者(民間資格)

 

【溶接の仕事は資格なしでもできる!?】

溶接の仕事に携わるにはその種類により

労働安全衛生法などで定められた国家資格の取得が必要になります。

例えば、アーク溶接には「アーク溶接作業者」、ガス溶接には「ガス溶接技能者」、

ボイラー溶接には「ボイラー溶接士」の資格がそれぞれ必要になります。

またガス溶接では「ガス溶接作業主任者」の資格を持っている者から

ガス溶接作業主任者を選出した上、作業方法を選定したり

作業者に指示するなどの管理業務を行うことが義務付けられています。

このように、溶接の仕事に携わるにはその溶接の種類ごとに資格を保有している必要があります。

 

【アーク溶接作業者(国家資格)】

アーク溶接は現代の溶接の中でも主流となっている溶接技術です。

溶接を行うときに青色の光を見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、

この光を「アーク」と呼びます。

アーク溶接は大気中の放電現象を利用し、金属同士をつなぎ合わせる溶接方法です。

「アーク溶接作業者」の取得方法

「アーク溶接等の業務に係る特別教育」を受講することで資格を取得できます。

講義内容は以下の関連知識と法令となります。

1.アーク溶接に関する知識

2.アーク溶接装置に関する基礎知識

3.アーク溶接等の作業方法に関する基礎知識

4.関係法令

合計11時間の学科と10時間の実技となります。

学科のみなら1日半、実技も加えると3日間の講習です。

資格の難易度

アーク溶接作業者は講義を受講し、修了証を受領すれば取得することができます。

 

【ガス溶接技能者(国家資格)】

ガス溶接はガス溶接機を使い、

アセチレン、水素、LPGなどの可燃性ガスの燃焼熱で金属を加熱し溶接する方法です。

「ガス溶接技能者」の取得方法

ガス溶接技能講習を受講し、修了試験に合格すると取得可能です。

受講資格者は18歳以上の方です。

講義内容は以下となります。

1.業務のために使用する設備の構造及び取り扱いの方法に関する知識(4時間)

2.業務の為に使用する可燃性ガス及び酸素に関する知識(3時間)

3.関係法令(1時間)

4.設備の取扱いに関する実技(5時間)

5.修了試験(1時間)

学科8時間、実技5時間、修了試験1時間です。

資格の難易度

ガス溶接技能者講習には修了試験が設けられていますが、

難易度は高くなくほとんどの人が合格します。

 

【ガス溶接作業主任者(国家資格)】

アセチレン溶接装置などを使って溶接する際には、

ガス溶接作業主任者の選任が義務付けられています。

ガス溶接作業主任者はアセチレン溶接を使って

溶接や切断を行う際の作業方法の決定や指揮を執ります。

「ガス溶接作業主任者」の取得方法

受験資格は特にはありませんが、本人確認証明書の添付が必要になります。

試験時間は3時間、科目は以下の内容です。

1.ガス溶接等の業務に関する知識 5問

2.関係法令 5問

3.アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識 5問

4.アセチレンその他可燃性ガス、カーバイド及び酸素に関する知識 5問

全て五肢択一式、科目ごとの得点が40%以上、かつ総得点が60%以上で合格です。

資格の難易度

近年合格率は85%ほどと言われています。

しっかりと準備して臨めば合格できる難易度と言えるでしょう。

 

【普通ボイラー溶接士・特別ボイラー溶接士(国家資格)】

ボイラー溶接士はボイラーまたは第一種圧力容器の溶接業務を行う際に必要な資格です。
ボイラー溶接士の資格区分には「普通」と「特別」があり、

「普通」は溶接部25mm以下の場合または管台、フランジ等を取り付ける場合の溶接業務が可能、

「特別」は制限なく溶接が可能となります。

ボイラー溶接士の取得方法

受験資格は

普通:1年以上溶接作業の経験がある者(ガス溶接・自動溶接除く)

特別:普通ボイラー溶接士の免許取得後、1年以上ボイラー

または第一種圧力容器の溶接作業の経験がある者(ガス溶接・自動溶接を除く)です。

試験は普通・特別共に五肢択一式の40問、2時間30分の学科試験、

実技は普通が「下向き突合せ溶接」と「立向き突合せ溶接」、特別が「横向き突合せ溶接」です。

総得点60%以上で合格となります。

資格の難易度

近年の合格率は普通が約60%、特別が約75%です。

しっかりとした準備が必要な資格です。

 

【アルミニウム溶接技能者(民間資格)】

取扱が難しいアルミニウムの溶接に関する資格です。

アルミニウム溶接技能者の資格には基本級と専門級があり、

さらにいくつかの資格区分も設けられています。

「アルミニウム溶接技能者」の取得方法

「アルミニウム溶接技能者評価試験」に合格することで取得できます。

受験資格は満15歳以上、基本級は1カ月以上のアルミニウムの溶接技能を、

専門級は3ヶ月以上習得していることが条件です。

基本級と専門級は同時に受験することが可能です。

資格の難易度

合格率は8割程度とされていますので、

しっかりと準備を行っておけば合格できると言われています。

 

【溶接技能者(民間資格)】

溶接技能者は溶接の技術力の証明となるもので、種類が複数あります。

・手溶接技能者

・半自動溶接技能者

・ステンレス鋼溶接技能者

・チタン溶接技能者

・銀ろう付け技能者

・すみ肉溶接技能者

・基礎杭溶接技能者

・石油工業溶接士

これらの種類のほか、基本級と専門級、溶接の厚さなどにより区分が細分化されており、

受験資格もそれぞれ異なりますので、証明したい技術に合った資格を選ぶことが必要です。

近年の合格率は77%程度です。

資格の種類により、合格率は変動します。

 

【溶接管理技術者(民間資格)】

「溶接技能者」の上位資格です。

官公庁から受注する工事には溶接管理技術者の有資格者の常駐が求められています。

溶接技術はもちろん、施工計画や施工管理のスキルを認定するための資格です。

受験資格はいずれも実務経験が必要で、学歴により必要な実務経験は前後します。

溶接管理技術者の近年の合格率は特別級が約24%、

1級が約24%、2級は57%と難関資格であると言えます。

 

【溶接作業指導者(民間資格)】

溶接作業指導者は工場の溶接に関する工程の役職者、現場監督を想定した資格です。

3日間の講習を受講し、筆記試験に合格すると取得することができます。

溶接管理技術者の資格を持っている方は1日目と2日目の講習は免除することができます。

溶接作業指導者の資格は講座を受講して学科試験を受験した人は

ほとんど合格するとされていますので、しっかりと講義を聞いておけば問題ないでしょう。

 

【業務に必要な資格を取得しましょう】

溶接の仕事で必要な資格をご紹介しました。

溶接の業務では資格がないと携わることができないものが多いため、

担当する業務に必要な資格を取得しましょう。