配管の溶接式継手の種類・形状・特徴と溶接の手法をご紹介

配管の組立てに欠かせない溶接継手には

その目的や用途、材質、サイズ等によって多種多様になっています。

この記事では継手の種類や接合方法等についてご紹介します。

 

溶接式継手とは

溶接式継手は接合面に熱や圧を加えたり、

溶接棒等と鉄筋端部を溶融させて鉄筋を接合する継手手法です。

ボルト等を使用するねじ込み式よりも強度があり、取り外すことを前提としない固定式で、

漏れが許されない配管では主流となっています。

例えば集合住宅やホテルなどやプラントやパイプライン、火力・原子力発電所設備など、

安全を確実に確保しなければならない配管で多く用いられています。

製品は溶接しやすい比較的厚めのものを中心として後継、角度、サイズも幅広くあります。

用途に合わせて炭素鋼、ステンレス鋼、

その他合金、非金属のようなさまざまな素材の製品が存在します。

また、材質、形状も一般的なものから特殊なものまで豊富にあります。

 

溶接継手の形状

溶接継手にはさまざまな形状があり、

配管と組み合わせることで自由な形にしていくことが可能です。

ここでは代表的な形状をご紹介します。

エルボ

エルボはL字型をした接続管で向きが違う配管どうしを接続するための継手です。

角度は45度、90度、180度等があり、曲げ半径の大きいものは「ベンド」と呼ばれます。

天井や床の角など直角になっている場所で使用します。

エルボにはロングエルボとショートエルボがあります。

チーズ

配管をT字に分岐するときに使用します。

母管と枝管が同系のものや枝管の径が小さいタイプ、Y型のラテラル等の種類があります。

クロス

左右対称の十字状の形をした継手で4つの管を接続することができます。

流体を4方向に分岐させる際に使用されます。

レデューサ

直径が異なる2つの管を接続するための継手です。

1つでは太さを変え切れない場合は2つのレデューサを直列につなぐことも可能です。

また、同じ径の直管の長さを足したいときにはソケットを使って管どうしをつなぎます。

キャップ

キャップはパイプに被せるように接続し、パイプの端を塞ぐために用いる継手です。

名前の由来は形が帽子(キャップ)に似ていることから取られています。

接続方法により4タイプがある

配管継手にはこれらの形のほか、接続種類によってタイプが分かれており、

主にネジ込み形、突合せ溶接形、差込溶接形、フランジ形の4つがあります。

このうち溶接式継手は突合せ溶接形と差込溶接形です。

 

継手の素材

白継手

表面加工がされている継手で

溶融亜鉛メッキのためカドミウムと鉛を使用せず環境に配慮されています。

溶融亜鉛メッキとは亜鉛を高温で溶かして

継手本体を浸すことで表面を亜鉛の被膜で覆う手法となり、

錆びや腐食を防ぐ方法です。

白継手の適用流体は中水、工業用水、冷温水、冷却水、消化用水、ガス、空気、油です。

黒継手

鋳放しで、材質は黒心可鍛鋳鉄が使われています。

鋳放しとは鋳造後に湯口や押湯のような製造工程で作られた部分を除去して仕上げる方法で、

白継手のようにメッキ加工は施されていません。

黒継手の適用流体は冷温水、冷却水、消化用水、蒸気、ガス、空気、油です。

 

溶接継手の種類

溶接継手とは溶接によってつなぎ合わせる材料の組み合わせ方のことを言います。

組み合わせ方は突合せ継手、重ね継手、当て金継手、角継手、T継手などの手法があります。

溶接継手のやり方は溶接方法や板厚、応力のかかり具合などを考慮して選びます。

突合せ継手

母材がほぼ同じ面内の溶接継手で、溶接継手の中で最も普及している方法です。

突合せ溶接継手の特徴は施工時にほとんど伸縮がなく、継手部にこぶが生じないことです。

重ね継

重ね継手とは2つの素材の一部を重ねて延長する方法です。

重なった部分の長さを「重ね長さ」と呼びます。

当て金継手

2つの母材を同じ平面に揃えて互いの母材表面に別の板を当て板し、

当て板の端面と母材とのすみ肉溶接を行う方法です。

角継手

2つの部材をほぼ直角にし、その角をL字型に溶接する継手です。

ボックス形状の部材を製作するときによく利用されます。

T継手

2つの部材を直角にT字型に溶接する継手です。

T継手にはすみ肉溶接とグルーブ溶接が用いられます。

 

溶接の種類

溶接方法にはいくつかの手法があり、その目的や素材により適切な方法を使い分けます。

溶接は溶接部の形状により、グルーブ溶接、すみ肉溶接、フレア溶接、

プラグ溶接、スロット溶接などに分けられます。

グルーブ(開先)溶接

グルーブ(開先)溶接は「開先」と呼ばれる加工を施した母材の接合面を溶接する方法です。

開先とは必要な溶け込みを得るために溶接の前に溶接継手に設けられる窪みのことです。

グルーブ溶接は母材の変形を抑制したり、

接合部分に強度が必要とされる溶接では効果のある技術です。

すみ肉溶接

すみ肉(隅肉)溶接とはT型に直行する2つの接合面に溶着金属を使って接合する方法です。

隅肉溶接には片側溶接と両側溶接があります。

すみ肉溶接では母材と母材が一体化していないので

それらをまたぐ箇所に溶接金属を付けて接合します。

結合強度は低いため、一般的に引張力が掛かる場所には使用しません。

フレア溶接

フレア溶接は鉄筋どうしを重ね合わせた部分を溶接を用いて接合する手法です。

フレア溶接によって鉄筋を重ね合わせることで複雑な形の鉄筋を作り出すことができ、

鉄筋自体の強度を上げることができます。

これにより、耐震補強工事や高速道路の高架橋、大型建造物等の接合に用いることができます。

プラグ溶接

プラグ溶接は「栓溶接」とも言い、母材を重ね合わせて接合する際、

一方の母材にプラグ(丸穴)を開けておき、穴を埋めるように溶接し接合する方法です。

プラグ溶接は平板状母材の重ねや面接合などを行うのに使用されますが、

外周だけのすみ肉溶接よりも接合強度を上げたい場合や耐食性・耐熱性を向上させるため、

母材に特殊材料を貼り付けるライニング加工にも用いられます。

スロット溶接

スロット溶接は溝溶接とも呼ばれ、

重ね合わせた素材の一方に掘った細長い溝に対して溶接を行う方法です。

プラグ溶接などと同様にすみ肉溶接だけでは

接合強度が不十分な場合に補助的に用いられることが多い溶接です。

 

配管の溶接式継手の種類にはさまざまなものがある

配管の溶接式継手の種類や溶接の方法をご紹介しました。

配管継手はサイズも含めてさまざまな種類がありますので、

サイズ等はメーカーホームページやカタログのサイズ一覧を参考に寸法を確認したり、

製品情報に表示されている内容をよく確認して使用するようにしましょう。