板金とは!?板金の種類・加工方法・代表的な溶接方法を解説

板金は自動車など身近なものに使われており、素材や用途に合わせてさまざまな溶接法が用いられています。
この記事では板金の加工方法、溶接の方法を解説します。

 

板金とは

板金とは金属の板を加工したもの全般を指します。

板金はさまざまものに使用されており、自動車や建築物の設備などのほか、冷蔵庫、洗濯機、テレビやパソコン、鍋など、身近な物に使用されています。

 

板金の加工方法

板金の加工方法には主に以下の4つの方法があります。

 

切断

切断加工は金属を切断する加工方法です。

切断加工にはさまざまな機械を使用しますが、代表的なものにシャーリングマシンを使ったシャーリング加工やレーザーを使って切断面を溶かしながら切断するレーザーカットなどがあります。

 

曲げ

曲げ加工は金属を曲げて形を作っていく作業で、代表的なものに以下の方法があります。

・突き曲げ(V曲げ)…曲げる部分の線に沿って力を加えて曲げる加工方法
・押さえ曲げ(L曲げ)…台の上の材料を押さえて曲げる加工方法
・逆押さえ曲げ(U曲げ)…台の中に逆押さえを組み入れてパンチと逆押さえによって金属を加工する

曲げ加工に使用される金型は100種類以上あり、幅広い形状に加工することができます。

 

絞り

絞りとは1枚の板金に圧力をかけ、継ぎ目を作らずに窪みをつくる方法で、円錐、円筒、角筒等さまざまな形状に加工することができます。

絞り加工のメリットは板金に傷や継ぎ目を作らずに複雑な形状に作り上げることができるという点です。

 

溶接

溶接は板金同士、または板金と他の金属材料をつなぐ加工で、接合部分に熱や圧力を加えて接合します。

 

板金溶接の種類

板金溶接には
・融接法
・圧接法
・ろう接法
の3種類があります。

 

融接法

融接法は溶接の中でも最もポピュラーな方法です。

金属を熱で溶かし、溶けた金属をくっつけて冷却・凝固させて接合します。
母材または溶加材どちらか一方だけを溶かして溶接する場合もあります。

融接法にはさまざまな手法がありますが、アーク溶接、レーザー溶接、スタッド溶接が特にメジャーです。

アーク溶接は気体の放電現象であるアーク放電を利用した溶接方法です。
アーク溶接の温度は5,000~20,000度程度と言われており、1,500~2,800度で融解する鉄を溶接するには十分な温度です。
比較的安価で高品質な加工が可能なため、広く利用されています。

レーザー溶接はレーザー光を照射し、金属を融解・凝固させて接合する方法です。
レーザー光で一瞬で素材を融解させることができるため、短時間で加工することができます。
パワー密度も強いため、異素材同士の溶接に適しています。

スタッド溶接はねじやピン、ボルトなどのスタッド材と母材の間でアーク放電を行い溶接を行う方法です。
溶接時間が短く生産性が高い、接合部分の強度が高いというメリットがあります。

 

圧接法

圧接法は金属どうしに機械的圧力を加えて接合する方法です。

圧接法には主に摩擦圧接法、ガス圧接法、スポット溶接の3種類があります。

摩擦圧接法は溶接する2つの部材を共に高速で回転させるなどしてすり合わせ、その際に生じる熱を利用した方法です。
この方法を用いると金属同士を直接融解して接合するため、溶接後の強度は非常に強固となり、溶接前の素材の強度を低下させることなく接合することが可能です。

一方で、施工には専用の設備が必要となり、簡易的な方法ではありません。

ガス圧接法は摩擦圧接の中でも簡易的な方法です。
摩擦圧接は製品同士の摩擦により熱を発生させますが、ガス圧接は熱源をガスバーナーで補います。

摩擦圧接のような大掛かりな設備は必要とせずに溶接を行うことができるため、建築現場などでも利用されています。

スポット溶接はプラスとマイナスの電極を持った機械で金属を挟み込んで圧力を掛けます。
この状態で電極に電気を流すことで局所的に高温の状態を作り出し、金属を溶接する方法です。
特に薄い板などの接合に用いられます。

自動車のボディなどでよく採用されており、溶接時間も短いため、自動車生産の現場で多く採用されています。

 

ろう接法

ろう接法は母材よりも融解温度が低いろう材を使用して接合する方法で、母材を溶かさずに接合することができます。

母材の熱による変形や変異を少なく抑えることができるというメリットがあります。

 

板金加工で使われる材料

板金加工で使用する材料は軟鋼板、ステンレス鋼板、表面処理鋼板、アルミニウム板、銅板などが主なものです。
鋼板は板厚により厚板(6mm以上)、中板(3mm以上6mm未満)、薄板(3mm未満)に分けられます。

板金素材は大きく2つに分けられます。

・鉄鋼…鉄、ステンレス、亜鉛鉄板等
・非鉄金属・非金属…銅、銅合金板、アルミニウム、アルミ合金板、合成樹脂板、繊維材料板、等

 

鉄鋼

・冷間圧延鋼板(SPCC)
板金加工材料の中で最も多く利用され、流通性が良い材料です。

・ステンレス鋼板
低炭素鋼にクロムまたはクロムとニッケルを加えた素材で耐食性に優れています。
ステンレス鋼板は軟鋼に比べて硬度、引張り強さが強く、熱伝導性はあまりよくありません。

 

非鉄金属・非金属

非鉄金属の中で板金材料としてよく使われているのが銅、銅合金類、アルミニウムとアルミニウム合金です。
理由は銅は機械的性質、耐食性に優れ、アルミニウムは加工性が良く軽い材料であることが挙げられます。

 

定尺材のサイズ

板金材料として主に使われる材料のサイズはJIS規格により決まっています。
これを定尺材と呼び、各鉄鋼メーカーはこの規格のサイズで製品を生産しています。

軟鋼板の定尺材のサイズは以下の3つがあります。

・3’×6’(サブロク)…914×1829mm
・4’×8’(シハチ)…1219×2438mm
・5’×10’(ゴトー)…1524×3048mm

ステンレスの定尺材のサイズは以下の3つがあります。

・メーター板…1000×2000mm
・シハチ…1219×2438mm
・ゴトー…1524×3048mm

鋼板はフィート単位で生産されており、ステンレス、アルミニウムはメーター単位で生産されています。

 

板金溶接には多種多様の加工法がある

板金溶接と一口に言ってもその種類や加工方法には多くの種類があります。

溶接を行う際には数多くの加工法の中から素材と目的に合った溶接方法を適切に選択することが重要です。

そのため、各溶接方法の特徴、メリット、デメリットをしっかりと理解した上で適切な加工法を選択することが大切です。