-溶接に関する免許にはどんなものがある?資格の種類をご紹介-

溶接作業は、DIYのような簡単なものであれば免許なしで行うことも可能です。

とはいえ、溶接工として長く働くにあたって専門性の高い免許や資格を取得する方は多いものです。

溶接に関する免許や資格にはさまざまな種類があり、カバーできる溶接作業の範囲や資格の取得難易度はそれぞれ異なります。

そこで今回は、溶接に関する免許や資格についてご紹介します。

 

溶接作業に携わるための免許や資格5種類

溶接に関する資格や免許には、初心者向けのものや熟練者向けのものなど多彩な種類があります。

まずは、溶接作業者に求められる免許や資格を5種類、チェックしていきましょう。

 

1. アーク溶接免許

アーク溶接とは、アーク放電と呼ばれる現象を用いて金属をつなぎ合わせる溶接の手法です。

金属溶接の中でも特にメジャーな溶接方法であるアーク溶接は、溶接初心者がまず学ぶ分野でもあります。

工場などの事業所でアーク溶接に携わる場合には、必ずアーク溶接免許を取得しなければなりません。

アーク溶接免許は、労働安全衛生法に基づく特別教育を受講した上で、修了証の交付を受ければ取得できます。

受験資格は満18歳以上の人に与えられており、年齢以外に必要な資格や条件は設定されていません。

免許取得時には講習会場に足を運び、学科や実技の研修を受けることになります。

ほとんどの会場では学科の講習を2日間程度、実技を1日程度に設定しており、すべての講習を受講すれば晴れて免許を取得できます。

アーク溶接の技術があれば、自動車工場や鉄工所、造船所のほか、建築の現場でも活躍できます。

 

2. ガス溶接技能者資格

ガスバーナーの炎で金属同士をつなぎ合わせる溶接方法をガス溶接と呼びます。

ガス溶接はアーク溶接よりも作業に時間がかかるのが特徴で、溶接の手法もアーク溶接とは大きく異なっています。

ガス溶接の業務に携わるためには、ガス溶接技能講習を受講しなければなりません。

ガス溶接技能者の資格取得自体には特別な試験などはなく、2日にわたって14時間の講習を受けることで資格を取得できます。

講習を受けたあとガス溶接作業の実務経験を3年以上積むと、ガス溶接作業主任者の免許を取得できます。

ガス溶接作業主任者はガス溶接の作業方法を決めたり、現場で責任者として指揮を取ったりといった仕事に携われます。

アーク溶接ではなくガス溶接が向いている作業もあるので、溶接作業者は必要に応じてどちらの溶接方法を採用するかを見極める必要があります。

 

3. アルミニウム溶接技能者資格

アルミニウムはほかの金属に比べて軽く、さらに強度もあるため、自動車をはじめとしたさまざまな工業製品に多く用いられます。

アルミニウムの加工を行うためには、アルミニウム溶接技能者の免許を取得する必要があります。

アルミニウムは加熱中に酸化を起こすことがあるほか、少しの熱でも溶けてしまう特質もあるなど、加工の難易度が比較的高めです。

そのため、アルミニウム溶接に携わるためには十分な技術や知識を身につけておかなければならないのです。

アルミニウム溶接技能者資格には基本給と専門級の2つがあり、いずれも学科試験と実技試験から構成されます。

実技試験ではTIG溶接またはMIG溶接のいずれかを選んで受験します。

アルミニウム加工の依頼先を探すときには、アルミニウム溶接技能者免許をもつ技術者が在籍しているかを確認しましょう。

 

4. ボイラー溶接士

ボイラーとは、燃料を燃やして水蒸気や温水を生成し、この熱を動力として活用するための装置です。

ボイラーは複雑な構造になっているため、ボイラーの製造や修理、改造などのための溶接は必ず有資格者が行わなければなりません。

労働安全衛生法によって定められたボイラー溶接のプロを、ボイラー溶接士と呼びます。

ボイラー溶接士の免許には普通ボイラー溶接士と特別ボイラー溶接士の2つがあり、それぞれ業務範囲が異なる点に注意が必要です。

一般的には、まず普通ボイラー溶接士の免許を取得し、ボイラー溶接の実務を積むことで、特別ボイラー溶接士の資格取得が可能となります。

 

5. 溶接技能者

溶接技能者とは、日本溶接協会が認証する民間資格で、資格取得後にはさまざまな材料の溶接作業に携われるようになります。

溶接技能者の資格は溶接の方法や使用する金属材料によって区別されています。

講習の内容はアーク溶接のほか、ステンレス鋼やチタン、プラスチックなどの素材の溶接に関するものなどさまざまです。

また、TIG溶接やMAG溶接など、溶接方法に応じて資格が区分されているのも特徴的です。

溶接技能者の資格をもつ人は、ものづくりの現場でさまざまな溶接に携われるようになります。

 

溶接作業の管理や指導に関する免許2つ

続いて、溶接作業の管理や指導に特化した資格を2種類チェックしていきましょう。

 

1. 溶接作業指導者

溶接作業指導者とは日本溶接協会が認定する資格で、取得すれば溶接作業員の指導を行うことが可能となります。

溶接作業指導者の受験要件は満25歳以上と定められており、さらに、溶接に関する技術の保有などの条件をクリアしなければなりません。

溶接作業指導者の資格をもつ人は、工場や建設現場の職長や班長としての活躍が見込めます。

現場では溶接に関する支持や指導のほか、工程管理や実施記録の作成といった業務も担います。

 

2. 溶接管理技術者

溶接管理技術者資格とは、溶接作業の計画や管理などに携わるための専門資格です。

溶接の現場では、溶接に関する知識や技術をもつ技術者だけでなく、作業全体を統括する管理者の存在も欠かせません。

官公庁の工事を受注するためには、社内に溶接管理技術者が1人以上在籍している必要があります。

また、機械工場やエネルギー施設、造船や橋梁、化学プラントなどの分野でも溶接管理技術者の存在が必須です。

溶接管理技術者が在籍している業者を選べば、溶接作業をスムーズに進めてもらえます。

 

溶接免許取得済みの技術者が在籍する業者を選べば安心

溶接の作業を専門的に行っていくためには免許や資格が欠かせません。

溶接に関する免許を取得すれば、アーク溶接やガス溶接、アルミニウム溶接など、より高度な溶接作業に携わることが可能となります。

また、溶接作業の指導者や管理者になるための資格試験もあり、多くの人が試験にチャレンジしています。

溶接作業を依頼する際には、資格保有者が在籍している専門業者を選んでみましょう。